でき太くんのチルドレンズハウス

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コラム

Topic 2: 幼児期の算数で大事なこと

幼児期の子ども達の学び方

“学び”のスタートラインに立ったばかりの幼児期の子ども達が、負担感なく学習がスタートできるためには、
幼児のお子さんの物事の学び方の特徴を、きちんと認識しておくことが重要です。

幼児期のお子さんの学習と、学齢期のお子さんの学習の次元は、全く違います。
幼児期のお子さんは、生まれてまだ数年しか経っていませんので、今まで生きてきた中で得た知識というのは全て実体験がもとになっています。 この実体験がもとになっているからこそ、頭の中でイメージを持って思考をめぐらすことができます。 
言い換えれば、具体の世界、五感で感じる世界で生きているのが、幼児期の子ども達です。

逆に、学齢期頃のお子さんや大人は、ある程度、生活体験などを通して貯めてきた経験が、血肉化し、情報処理され、イメージを持って思考をめぐらすことができるようになってきます。(小学校1年生ぐらいでは、まだ幼さを持っていますが、2年生以降は、徐々に抽象的思考ができるようになり、理屈というものがわかってきます。)

具体から抽象へ

上述した点をまとめると、私たちが持っている知識や思考というのは、具体的な体験がベースです。
言い換えれば、具象的な体験を経験しているからこそ、抽象的に物事を考える事ができます。
例えば、私たちは今までの人生経験の中で、たくさんの「経験知」を持っています。私たち大人は場数を踏んで様々な経験を積んでいます。ですから、今まで経験したことと似たような状況に出くわした時は、その経験をもとに、どう対処すればよいか見当をつけて対応することができます。
つまり、私たち人間の行動や考えは、「経験したことがあるかどうか?」で、大きく左右されるということです。

このメカニズムが、幼児期の子どもたちにもいえます。幼児期の子どもの行動や思考も、今までに経験してきたことがベースになります。
例え、幼児期の子どもの人生経験の期間が、大人に比べて短くても、物事を考え、判断するという思考のメカニズムは大人と全く同じです。
大人も子ども、具体的な体験があるからこそ、抽象的思考ができるようになります。
その意味で、「具体(具象)から抽象へ」という学びの手順が、幼児期の子どもの学びの環境には絶対不可欠です。

 

では、ここでいう「具象」と「抽象」とは、どういうものか考えてみましょう。
まず、「具象」とは、「目に見える形のあること。姿や形をもっていること」。つまり、「実の体験」というものです。
「抽象」とは、「事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し,それを抽(ひ)き出して把握すること」。要するに、「私たち頭の中の実物なしのイメージ像」です。

例えば、まだ桜を見たことのない子どもに、「桜」と言っても、その子どもは頭の中で「桜」の姿を想像することはできません。
ですから、「具象」という、薄ピンクで春に咲いている実物の「桜」を見せて、「桜」というものが何かを体験させてあげることが大事です。薄ピンクで春に咲いている実物の「桜」を見たことによって、「これが桜である」という認識ができるようになります。そこから、初めて「桜」という言葉を聞いただけで、「桜」のイメージ像が想像できる「抽象」のレベルに入ることができます。

生れてまだ間もない赤ちゃんは、ありとあらゆるものが新しく、手で触ったり、口に入れたりして、身の回りのものを認識していきます。
握っても手を離せば物は落ちる。水が入ったグラスが倒れれば、水はこぼれる。上から下へ水は流れる・・・といった、様々な事象の性質・仕組み・成り立ちを学び取っていきます。
これは、まさに具象の体験を通して、身の回りの存在を認識しているといえます。その意味で、幼児期の子どもにとって、上述したような具体的な体験が何より大切になってきます。

 

大人は、今までの人生経験で培ってきた“経験知”というものがあるからこそ本を読んだ時、言葉だけでその内容をイメージすることができ、さらに知見を広げることができます。
私たち大人は、幼児期の子どもたちにもこの同じメカニズムが働いているということを知る必要があります。抽象的な思考がいきなりできる子どもなどいません。様々な具体的な体験を積んで、その体験の上に立って初めて抽象的な思考ができるようになります。

「何度説明しても、この子は理解できない!」、「うちの子、大丈夫かしら?」と思われたことがあるかもしれません。これは、上述したことを無視したやり方で子どもに学習をさせているからです。説明している内容が、その子の経験知を上回っており、言葉という抽象的な説明だけでは、その内容を理解することが、子どもにとっては難しいのです。
これは、決して能力の問題ではありません。学び方の問題です。

具体的な体験を通して、抽象的思考ができるようになれば、抽象的な言葉での説明、つまりペーパーを使った学習も十分に理解できるようになります。 
これを無視した状態で、単語量を増やす、数の計算だけをさせる、算数の問題を解かせる・・・という言葉や数字という子どもにとって抽象的な説明で学習をさせようとすると、幼児期の子どもたちに、学習ストレスを与えることになります。

チルドレンズハウスでは、具体的な体験に重きを置いています。
「具体的な体験があって、抽象思考が育つ」。これが、人間の知能の発達を養う大きなカギとなっていると、私たちは考えています。

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